網膜剥離の症例

その2

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 下記の症例は、
眼球打撲のために
(飛蚊症などの自覚症状はなく)
念のために眼底検査希望で
来院された患者さんからです。
 眼底写真では
異常が認められませんが、
散瞳後に周辺部まで精査すると、
網膜下方に網膜裂孔が見つかり、
その周囲が軽度に浮き上がっています。
 実は既に
扁平な網膜剥離が進行しており、
レーザー凝固では止められず、
手術を要する状況でした。
 眼球打撲から日数は
さほど経過していないので、
因果関係は低いと思われ、
無症候性の網膜剥離が
偶然発見されたのではないか
と思われます。

 下方の網膜円孔由来の網膜剥離は、
進行が緩徐なために、残念ながら
自覚された時には網膜の下半分に
大きな剥離が生じている事が多いです。
 左に挙げたのは
右目のボヤケを自覚されて
来院された患者さんの眼底です。
 下のほうに白い線が見えますが、
これはデマーケーションラインと言って、
数ヶ月前より扁平な網膜剥離が生じていた結果、
隙間に線維性の組織が増生して
出来たものです。
良く見ると黄斑部にも
うっすら剥離の所見が見て取れます。
 直ちに大学病院に緊急入院となり、
硝子体手術の結果中心視力は回復しましたが、
上半分の視野は欠けたままです。

 進行が緩徐なために
自然に復位することがあります。
 下記の症例も、
眼底検査で偶然、発見されたものです。
 網膜周辺部まで精査すると、
広範囲に復位後の変性網膜が
観察されました。
(黒く見えるのが変性した網膜です)
 このような場合には
レーザー凝固の必要性はあまりないのですが、
再剥離の危険があるので
定期的な眼底検査が必要です。

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