緑内障の診断及び経過観察には三次元眼底検査がとても役に立ちます。当院ではドイツのハイゼルベルグ社のHRT3(HRTV)を導入しています。
 HRT3(HRTV)は共焦点走査型レーザー検眼鏡で、一回あたり1.6秒の画像取り込みを三回繰り返して、平均値を取っています。
 この装置を選んだのは、無散瞳下(瞳孔を開く薬を点眼しない状況下)でも検査可能であるからです。このおかげで日常診療の場でも流れを止めずに検査できます。
 そこで3D検査を施行しました。黄斑に浮腫が及びつつあります。
 黄斑部の出血の患者さんの3D検査をしました。
 出血の瘢痕部が変性しています。

下図において、フィルターをかけると神経線維層の欠損が認められました。
しかし、視神経乳頭には篩状板の露出もありません。

 そこでHRT3(HRTV)で三次元検査を施行しました。小窩様の所見が得られました。
 しかし、その上を血管が浮いて走っています(overpassing?)眼圧が高めなので点眼治療しつつ経過を観察しています。

 HRT3(HRTV)の検査を継続していくと、初回の検査からの変位をマップ表示してくれます。 
 緑内障性変化の場合には、神経線維層の欠損や陥凹拡大が視野欠損に先行するので、病態の変化を逸早く察知できます。


 黄斑前膜疑いの患者さんです。
 黄斑周囲が硝子体にひっぱられて盛り上がっています。

 大学病院に硝子体手術を依頼し、
 術前視力0.5 が
 術後視力0.8 にまで回復しました。
 緑内障は治療中です。

 3次元眼底解析は緑内障診療において将来的には
中心的な役割を果たしていくことと思われます。
 別のページを設けましたのでそちらをご覧下さい。
3次元眼底解析緑内障編

 下の患者さんはいきなり片目に稲光のようなものを感じた直後から、物の色合いが左右違って見える、
といって来院されました。

 2次元眼底カメラで見ると、黄斑周囲に乳頭径の2倍ほどの薄い環が見えるように思えますが、
はっきりとはしていません。
 以前ならばこのようなケースでは、散瞳薬を点眼して瞳孔を開かせた後に、
ゴールドマンレンズというのを直接角膜の上に乗せて黄斑部を観察していたのですが、
薬が作用するまで一時間程度かかり、しかも検査は大変眩しいのが難点でした。
 当院ではそれに代わり、3次元眼底カメラで黄斑部を撮影し、解析しています。
この方法では散瞳する必要がなく、軽度の隆起でも検知できます。

 ご覧のとおり、黄斑周囲の網膜がドーム状に膨らんでいるのが分かります。
これは網膜色素上皮に異常があり、網膜下腔に液が洩れている状態です。
 これが中心性網脈絡膜症という病気で、中年男性に好発する病気です。
ストレスが大きな原因だと考えられています。
 基本的に数ヶ月から半年で自然治癒しますが、
長引く場合には液が洩れている箇所を造影検査で探してレーザー凝固することになります。

 糖尿病に罹かっている人は、
定期的に眼底検査を受けて
頂きたいと思います。
  自覚されていなくても
網膜症を発症している場合が多いからです。
 下記の方は
糖尿病網膜症による出血が
ところどころに見られます。
 そして中心部に白点が見えると思います。
 これは黄斑症の可能性が高いです。

3次元視神経乳頭解析装置 (HRTV)について